インドパキスタン国境越え-番外編 日本での狂犬病ワクチン接種について

狂犬病ワクチンについて

狂犬病は、海外で犬を始めとする哺乳類に噛まれることにより1-3か月の潜伏期間を経て発症し、一度発症するとほぼ100%が死亡する感染症である。私は、パキスタンで不意に左足首を犬に噛まれ、緊急で現地の病院でワクチンを接種した。
しかし、狂犬病のワクチンは複数回の接種を行う必要がある。そのため日本に帰ってからも様々な手続きが必要だ。

まずは検疫所へ

外務省のホームページを見てみると、まずは日本に帰国した時点で検疫所に向かう必要があるようだ(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2016C034.html)。

動物に噛まれた場合の対策

成田空港に到着した私は、速攻で検疫所(入国審査の手前にある)に向かった。検疫所に入り、「パキスタンで犬に噛まれてしまった」と話すと女性の検疫官の方が対応して下さり状況をシートに記入するよう促された。その後、傷の状態と体温測定を行い、検疫官(医師)の方の診察を受けた。終始和やかな雰囲気だったが、「あー、結構がっつり噛まれてますね~」との先生の発言に内心冷や汗をかいていた。医師の診察を終えると、患者紹介連絡票をもらうことができる。これが病院に受診する際の紹介状のような役割を果たし、初回受診料が安くなったりワクチン接種の際の話がスムーズに進むようになる。

患者紹介連絡票を検疫所で頂いた。

日本で暴露後狂犬病ワクチンを接種可能な医療機関について

検疫所のホームページでは、感染症に対してワクチンを接種可能な医療機関をリストアップしてくれているhttps://www.forth.go.jp/moreinfo/vaccinationresult.html?institution_name=&prefecture=&addr=&vaccine_mst%5B%5D=30&public_note=&search_button=%E6%A4%9C%E7%B4%A2%E9%96%8B%E5%A7%8B)。特に狂犬病の暴露後ワクチンは緊急性がある一方で、接種可能な医療機関はかなり限られており、非常に有用だった。

大都市圏であればある程度打てそう

私は、ビビり倒してできるだけ専門性の高い医療機関を受診したいと思ったので新宿にある国立国際医療研究センター病院を予約した(https://travelclinic.ncgm.go.jp/)。この病院は、感染症に関しては日本トップレベルの診療を行っている。電話をして状況を説明すると、「遅れても大丈夫なので、必ず受診されるようにしてください」とのこと。とても対応がしっかりしていて、安心感があった。
また、検疫所でもワクチン接種が可能な医療機関を案内してくれるらしい。飛行機の遅延により通院の時間が過ぎていたので再度病院に連絡すると、予約の時間をずらして頂けた。

国立国際医療研究センター病院を受診してみた

成田空港から普段だと高くてほぼ使わない成田エクスプレスに乗車し、急いで病院へ向かった。海外の病院にはない安心感。
到着したのは、16時ごろとギリギリになってしまった(万が一遅れた場合でも、必ず電話をするように言われていた)。病院に入り、初診受付で感染症内科に受診予約をした旨を話した。日本における狂犬病ワクチンは1回15000円程度が相場だが、海外で哺乳類に噛まれて暴露後ワクチンの必要性が認められた場合には日本の医療保険が適用され、3割負担になる
感染症内科はかなり奥の方にあり、ひっそりとした雰囲気だった。中に入ると若い女性の先生がいて、状況を話した。おそらくAbhaylabというインド製のワクチンを初回パキスタンで接種したことを話した。チームで検討をして下さり、「Abhaylabは日本では承認されていないワクチンで、当院で取り扱っているワクチンはラビピュール(https://www.orphanpacific.com/medical/rabipur/)という国産のワクチンです。Abhaylabとラビピュールを混合して接種した場合にパキスタンの分を1回接種と数えられるかは現状明確なエビデンスはないので、念のためパキスタンで打ったワクチンは回数には含めず、今日からラビピュールで4回の接種を行う」と説明してくださった。とても丁寧な対応で、安心感があった
国立国際医療研究センター病院ではザグレブ法という接種方式を採用しているようで、初回受診日に2回接種、7日後、21日後に1回ずつ接種する計4回で接種を行っているようだ。

ラビピュール公式資料より引用

そのまま先生に2回の筋肉注射を両腕の三角筋に接種され、次回の予約を行った。金額は保険適用済みで8300円だった。取り返しがつかないことになり得るので、必ず受診してくださいと先生から説明を受けた。

2回目の受診

前回の受診の後、接種部位の軽い筋肉痛くらいしか大きな副作用は出なかった(というか、万が一発症した時が怖すぎて副作用を気にしている場合ではない)。初回受診の7日後に同じく国立国際医療研究センター病院を受診。3発目のワクチンを接種してもらった。今回は特に問診はなく、接種のみで待ち時間もほぼなかった。費用は保険適用済みで3980円だった。

3回目の受診

3回目の受診は初回受診の21日後に行った。2回目と同様にスムーズに案内してくれ、ワクチンを接種して頂いた。通院は3回のみで終了で、今後の通院についての案内などは特になかった。ただ、万が一今後狂犬病が疑われる症状が出たときに、ワクチンの通院歴があればその病院に相談をしやすくなるのが安心材料である。費用は2回目と同じく3980円だった。

保険の請求

今回は、クレジットカードの保険を使って医療費の請求を行うことにした。私が持っているのは利用付帯のクレジットカードで、メインカードがセゾンマイレージプラスカード(https://www.saisoncard.co.jp/mileage/ua-saison/?P5=PN6#travelservice)とアメリカンエキスプレスグリーンカード(https://www.americanexpress.com/ja-jp/benefits/insurance/nac-insurance/travel-accident/)である。保険の内容的にはセゾンが医療費300万円まで、アメリカンエキスプレスが100万円までであるが、利用条件を満たしていれば合算して400万円までの治療費に対応することができる。今回の治療費と交通費の合計は4万円程度だったのでどちらのクレジットカードの保険でも対応できる。
ちなみに利用条件については利用付帯(日本出国前に旅行の交通費を払うことで保険が有効になる)だったので、セゾンで飛行機代を、アメリカンエキスプレスで京成の特急料金を支払って保険を有効にしてあった。今回は、電話でのやり取りが不要でメールにて完結できるアメリカンエキスプレスの保険を使うことにした。

アメリカンエキスプレス メディカルヘルプラインからのメール。安心感がある。

日本に帰国すると、保険請求に関する手紙が送られてきた。

今回は保険金請求書、Eチケットのコピー、病院の領収書、交通費の領収書(駅で切符を買って領収書を取っておく必要がある)、利用条件確認書類を用意して送った。交通費については、成田空港から東京駅まで特急列車を使用したものの、本来は特急料金については補償の対象とならないらしいが緊急の通院が必要ということで念のため請求してみた。総額としては、医療費=8300+3980+3980=16260円 交通費=成田空港~病院 3000円程度+病院~家 400円+病院~家を2回通院 1600円=5000円程度で合計21000円程度を請求した。
12月末に請求し、1月頭に以下の葉書が送られてきた。

保険金支払いの明細

結果としては、19791円が支払われた。詳細については分からないが、請求した費用のうち大体は帰ってきた感じだ。
支払いも迅速で、無料のクレジットカード保険にしてはなかなか良いと思った。
海外旅行保険には入った方が良い。特に海外旅行に行く際には、実際に保険を使わなくても、万が一の時の安心感が段違いだ。お金は仮に支払う能力があったとしても、言葉が通じず医療制度もよくわからない国で最適な病院を選定しコンタクトを取るのは大きなストレスだと思う。今回はパキスタンの僻地というレアな条件だったためにキャッシュレス診療や現地のエージェントは使えなかったが、以前フィンランドで高熱を出した時にはキャッシュレス診療が使えてなおかつ病気により滞在を延長した場合には帰りの航空券も補助される。そのため旅先で取ることのできる選択肢が増えてかなりおすすめです。私はクレジットカード付帯の保険を2つ持っていて使っているが、今回の2万円の補助だけでもクレジットカードの年会費の元は取れているだろう。

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