大館駅
後輩が青森の出身であり、東北のおすすめをきいてみた。大館駅からは青森方面に向かう予定だったが、奥羽本線沿いに大鰐温泉という地元で有名な日帰り温泉があるという情報を手にした。早速向かうことにした。
大館駅までは旅館の前からバスが出ている。
渓谷を超え、大館駅まで20分ほどで到着する。この路線はおばあちゃんと主婦が数人乗っている感じの生活路線のようだ。大館駅はJR東日本によって先日リニューアルされたばかりの駅だ。みどりの窓口はJRの方針で廃止され、指定席券売機が設置された。だが、券売機は高齢の方には難しいのか、券売機の前で女性駅員の方が説明をして下さっていた。
大鰐温泉駅までは30km程度であるが、奥羽本線の大館周辺は電車が1時間半に1本しかなく特急しか選択肢がなかったため「つがる」という特急にて向かうことにした。
駅の中にはNewdaysがあり、不思議な感じだった。珈琲を買って民芸品の椅子に座り電車を待つ。
特急つがる
特急つがるは秋田から青森を結ぶ特急で、E751系が充当されている。久しくJR東日本の特急には乗っていなかったが、思っていたよりもきれいな車両が入線してきた。座席はカウチ状にやや丸みがついておりホールド感がある。
モハの車両を選んだので、発車の音が聞こえてくる。VVVFの音が直に響き、気持ちいい。東日本のチャイムとアナウンスが流れ、雪と山の車窓が見えてくる。
北海道よりも風情があって個人的には好きだ。女性の車掌の方が検札をして下さった。北海道よりも女性のJR職員が多い印象がある。2駅で大鰐温泉駅に到着した。
大鰐温泉
駅を出て右側に進むと、鰐Come(https://www.wanicome.com/)という新しい道の駅がある。その中に日帰りの良い温泉があるという。道の駅に入るとラジオの公開収録とキッチンカーが数台並んでおり、地元感がある。
中に入ると500円で入湯することができ、26日ふろの日でくじを引くと、無料入浴券が当たった。ラッキー。
温泉は適度に暖かく、露天風呂が大きい。露天風呂と内風呂を分かつように松の木が置いてある。私はサウナが好きなので、高温サウナに入ることにした。サウナは木材が良い感じに劣化しており味がある。3セット、井戸水の深い水風呂に入る。水温は18度くらいで適度に体をクールダウン。外に外気浴用の椅子があり、バッキバキにととのった。そのあとに入った露天風呂では津軽弁のトークを聞きながら、ここに移住するのも良いかもしれないと考える。
弘前
風呂を出ると、ちょうどJRの電車がある時間だった。奥羽本線に乗り、弘前までは15分弱だ。ローカル線の風情があるが、ロングシートなのが東日本だ。
弘前駅に着くと、円形の案内板とりんごが存在している。大宮っぽい。
外に出て歩く。普通に都会だ。歩いていると、職場からメールが届く。私の職場では年末年始も当番制で仕事をする必要があるのだが、そのシフトの連絡だった。見ると、私の苦手な上司と一緒のシフトに入れられていた。一度その上司から強烈なパワハラを受けたことがあり、それ以来その出来事を思い出すとメンタルが沈むようになってしまった。それが原因でバーンアウトをしてしまい、一度働く場所を変えないと働き続けられないところまで来てしまったため転職をすることにした。今まではその上司ともうまくやっていけていたが、その一件以降なにを言われても素直に受け取ることができなくなってしまい、認識の変化の怖さを感じた。
そのメールを受け取ってから、何となく気分が沈んでしまい、弘前の街を1人で歩く。気持ちを少しでも上向けるために、深呼吸をしてみた。本当はブログに書くのはやめようかと思ったが、1年後にこの時はこんなことで悩んでいたというのを記録に残すことが重要だと思ったのでここに書き残すことにした。悩んでいることを文字に書くと、何となく客観視ができるようになってきて気持ちの受け入れが進んできた。
気持ちが少し落ち着いてきたところで、弘前のデパート内にある穴場的味噌ラーメンである中みそに行ってみた。家族連れの青森県民がたくさん来ていて席が取れない…。家族連れの隣に空いていた席にお邪魔させていただき、味噌ラーメンを食べた。甘辛くショウガとにんにくのきいたスープに細めのちぢれ麵、その上に油で素揚げしたもやしとニラがたくさん載っている。ラーメンを食べているとさらに気持ちが落ち着いてきて、少なくとも粛々と落ち着いて仕事をしようという心持になった。
バスの時間が近づいていたので足早に弘前駅に戻った。高速バスに乗り、空港に向かった。
自分の世界を広げることと心理的な安全性
旅をすると気持ちがリフレッシュしたり心が落ち着いたりする。これは旅自体が楽しいのも一因にあるが、個人的に一人旅の最も良い点は自分の心理的テリトリーが広がり、避難先が増える点にあるのではないかと思う。
私は旅をする際、住むように旅をするのを心がけている。そうすることで地元の目線も知れるし、万が一今の環境に限界が来てしまった際の避難先を具体的にイメージすることができるからだ。今の環境しか知らないと、例えば仕事が辛くて逃げ出したいとなった際に選択肢を具体的にイメージできないのでその場に留まりがちになるが、情報を自分の経験に基づいて知っておくと、今の場所がきつい、ではあそこに住もうかなと考えることができる(独身なら)。
私は今回の旅を通して、東北の人のホスピタリティの高さと自然の美しさと適度な便利さを知った。第六感だがいつかどこかのタイミングで、多分東北に住むのではないかなという感覚を残して、この旅を終わりにした。